高校進学と大学進学のあいだ
こんにちは、理塾です。
今日は、大学進学の話をしたいと思います。
突然ですが、「目指している大学」はありますか?
その目標を叶えるためには、「どういう高校に進学すればいいか把握」していますか?
大学進学をするうえで、どの高校に進学するかは、非常に関連性も高く、とっても大事な話です。
高校に進学してから、「そうとは知らなかった!」ということを防ぐために、早め早めに大学進学の実情を把握しておきましょう。
大学受験を取り巻く現実は、かなり厳しいです。
しかし、なぜか「楽観的」に考えている保護者の方や生徒さんが非常に多い。
ここに大きな落とし穴がある、と思っています。ですので、今回は警鐘を鳴らす意味でも厳しい現実の話をする次第です。
とりあえず、どの大学に合格するためには、どんな高校に進学すべきかについて、おおよそのクラス内順位を添えて書きました。
大学の偏差値が全てではありませんが、やはりわかりやすい目安が「偏差値」というのも事実ですので、まずは読んでみて、大学進学の現状を把握してみてください。
<著名国公立大(神戸大以上)>
奈良高校はクラス10位、畝傍高校はクラス5位、郡山高校はクラス3位、であれば合格しています。
平城高校はクラス1位、高田高校は学年1位、であれば合格していますが、さすがにこの順位は狙って取れるものではありませんし、現実的とは言いにくそうです。
それ以外の高校は、合格者はほぼいません。
よって、「著名国公立大を目指すなら、奈良高校か畝傍高校か郡山高校でクラスでも上位層をキープする必要がある」ということがわかります。
<一般国公立大(大阪市立大など)>
奈良高校や畝傍高校は、クラスで20位(真ん中)くらいであれば合格しています。
郡山高校はクラス10位、平城高校はクラス3位、高田高校はクラス3位、であれば合格しています。
橿原高校はクラス1位、であれば合格できますが、クラス1位必須というのは自分に当てはめるには現実的ではないと思われます。
よって、「一般国公立大を目指すなら、奈良高校か畝傍高校でクラスの真ん中、郡山高校か平城高校か高田高校で上位層をキープする必要がある」ということがわかります。もちろん、「一般国公立大」というのは非常に大きな分類なので、その中でも難易度の多少は当然あります。
<関関同立>
奈良高校や畝傍高校は、基本的に全員合格しています(むしろ最低限ここに合格できねば浪人、という感覚のようです)。
郡山高校はクラス20位、平城高校や高田高校はクラス10位、橿原高校はクラス5位、であれば合格しています。
桜井高校はクラス1位、西ノ京高校はクラス1位、香芝高校はクラス1位、であれば合格ですが、クラス1位は狙って取れるものではないので現実的ではありません。
よって、「関関同立を目指すなら、奈良高校や畝傍高校は全員、郡山高校はクラスの真ん中、高田高校や平城高校や橿原高校で上位層をキープする必要がある」ということがわかります。
<産近甲龍>
奈良高校や畝傍高校では、受験はしていますが滑り止めのようです。郡山高校もそれに準じています。
平城高校や高田高校はクラス20位、橿原高校はクラス10位、桜井高校はクラス3位、西ノ京高校はクラス3位、香芝高校はクラス3位、であれば合格しています。
よって、「産近甲龍を目指すなら、平城高校や高田高校はクラスの真ん中、橿原高校はクラスのやや上位、桜井高校や西ノ京高校や香芝高校は上位層をキープする必要がある」ということがわかります。
これらはだいたいのイメージです。出典は各高校の平成26年の大学合格者数から割り出した数値ですので、複数の合格があれば重複しています。毎年の変動もあるので、若干のズレはあるかも知れませんが、あくまでイメージとして捉えてください。実態とそれほど違ったことにはなっていないと思います。
こうして見ると、大学進学というのは高校進学とは違って、なかなか厳しいことがわかりますよね。
「この高校なら、まず間違いなくこの大学に行ける」というのは、その高校に在籍している生徒のほとんどが進学している、という状態のはずです。
これに照らし合わせると、奈良高校や畝傍高校ですら「国公立にはまず行ける」 とは言えないことがわかります。奈良高校生や畝傍高校生は、中学時代は基本的にオール5を取っていた生徒ですが、それほどの秀才であっても「クラスに半分は国公立に行けない」という厳しい受験状況がお分かりいただけるでしょう。
「この高校なら、平均点を取れているならこの大学に進学できる」というのは、その高校の生徒の半分くらいが進学している、というイメージのはずです。
これに照らし合わせると、奈良高校や畝傍高校なら「国公立はまぁ普通に平均レベルなら行けそう」と言えますが、平城高校や高田高校であれば「現実的にはほとんど国公立大には行けない」となります。むしろ平城高校や高田高校は、「国公立」でもなく「関関同立」でもなく、「周囲の生徒と同じくらい頑張ってて平均点付近なら産近甲龍」ということがわかります。
もちろん、その他の高校からも、「クラスで3位なら」とか「クラスで1位なら」という条件がつけばいろいろな大学に行っているわけですが、そのレベルの上位層は、なかなか狙って取れるものではありません。
例えば、どこの高校でも上位層は「さらに上位校の合格判定も十分に良くて合格レベルだったけど、この高校だと自転車で通えるのでこの高校にしました」とか「高校では上位層で指定校推薦を狙っているので、意図的に高校レベルを下げてこっちの高校に来ました」など、何らかの意図があって、あえて志望校を下げてきた生徒で占められていることがほとんどなので、よほどのことがないと上位層に食い込むことは厳しいのが現実です。
ですので、「模試判定が普通くらい」で「高校でも部活をする」で「毎日の勉強量は普通」であれば、進学した高校ではクラスの真ん中くらいを想定するのが妥当となります。もちろん「クラスで1位を取る!」という目標を掲げるのは素晴らしいことであり塾としても応援するのですが、「クラス上位が前提のはず」と考えるのは少しリスクが高いと言えるのはお分かりいただけるでしょう。
多くの保護者様とお話していると、「国公立に合格しろとは言わないが、せめて産近甲龍には進学して欲しい」というお言葉をよく頂戴します。このお気持ちは大変よくわかります。たしかに、それなりの企業に就職する際にそれなりの評価をもらおうと思うと、産近甲龍レベル以上が求められることも多いです。また、私は塾の関係者として高校の先生方ともよくお話しますが、どこの学校も「国公立」「関関同立」「産近甲龍」に分けて合格実績を話され、それ以下のレベルの大学は進学実績としてアピールされることは稀なことからも、この感覚水準は妥当性があると思っています(プライドの高い学校だと「産近甲龍」すら「実績として誇れないから」として省いてきます)。しかし一方で、「平城高校や高田高校レベル以上でないと産近甲龍は簡単ではない」のが現実です。
ここで私が言いたいのは、「それ以下の高校では厳しいから諦めましょう」ということではありません。まずは「産近甲龍であっても簡単ではない、という現実をちゃんと把握しましょう」ということです。そして、「そんなことくらい既に知ってるよ」という方は結構ですが、もしこの記事を読んで多少でも驚かれたのであれば、「今の感覚以上に危機感を持ち、しっかりと勉強を頑張る高校生活を経て、産近甲龍以上の合格を掴みましょう」ということです。
ここでたとえ話をしますと、「桜井高校や香芝高校では、相当な上位(クラス3位以内)でないと産近甲龍は厳しい」のが現実ですが、「それでも産近甲龍くらいには行って欲しい」ということになると、高校進学直後から全力でスパートをかけていく必要があります。周囲よりも多い勉強量をまず確保することが、上位をキープする最低条件です。なぜなら上位層を狙うとなると、「誰もが可能なことをする」のでは無理であって、「周囲は誰もやってないレベル」に踏み込まないと、周囲との競争に勝って上位に立つことはなかなかできないからです。
イメージしやすくするために極端な話をしますと、「部活はせずに時間は勉強に注ぎましょう」「まずは『自分のペースで勉強させてみる』ではなく塾や予備校で全力で学習しましょう」「家でも土日はもちろん平日も勉強しましょう」ということになります。
ちなみに大学の学費というものは、多くの方が想像している以上に家計を圧迫するものです。だいたいですが、どの私立大学でも毎年100万円が必要です。4年で400万円くらいするわけです。高いですよね。卒業証書が400万円の領収書に思えてきます。ですので「大学生の子供1人につき、毎月8万円が必要」と把握していただければ、まず間違いはありません。もちろんこれは自宅通学の場合であり、遠方で下宿するとなると、家賃と通信光熱費でその倍額くらいはかかるため、毎月16万円程度が必要です。
ちょっと話がそれましたが、ここで大切になるのは、「評価が高い大学でも、そうでない大学でも、基本的に学費は同じ毎月8万円」ということです。そして、それであればこそ、どうせ毎月8万円払うのならばこそ、「よりよい大学に行ってもらわないと勿体無いですよね」ということです。
なかなか厳しい現実であり、あんまり知りたくないと思われる方もいらっしゃるかも知れませんが、我々が最も避けたい事態は、「大学受験の際にようやく知って『えっ、そうだったの!?そうだったら、もっと早くから頑張ってたのに!今からじゃもう間に合わないよ・・・』という取り返しのつかない事態」です。よって、こういう把握は早いほうが断然有利で、大学進学のことであっても、小中学校の時から考えておけば、じっくり取り組むことができます。
簡単ではないものの、無理ではありません。現実を把握したうえで、目標をかなえるために何をすべきか、これを考え実践していきましょう。そのための情報提供と努力を、理塾は惜しみません。理塾では「高校受験は一通過点である」という認識のもと、小中学校の生徒さんであっても、大学受験までしっかり話をさせていただきサポートも致します。いつでもご相談ください。