夏休みの勉強について②
こんにちは。理塾です。
先日、夏休みの勉強について①というタイトルで、夏休みの宿題に対する取り組み方を簡単に述べさせていただきました。
今回は、夏休みの勉強がどのように影響するのかについて詳しく述べます。大事なことなので、しっかり把握していただきたくて頑張って書いたところ、めちゃくちゃ長くなっていますので、覚悟して読んでくださいね!!
さて、最初から話は全く異なるのですが、夏休みの勉強についてお話する前に、最初に「天才講師の勉強法」について述べさせてください。興味をお持ちの方も多そうなテーマですよね。
私は学習塾での勤務経験もそれなりにあることから、たくさんの学力優秀な講師と出会ってきました。もちろん、学習塾の講師になる者は学力学歴が高いことがほとんどであり、奈良高校出身者や畝傍高校出身者などは当たり前の世界です。全国的にも著名な東大寺学園出身者も複数見てきました。それゆえ講師が在籍いている大学も豪華であり、京大、阪大、神大をはじめとして、関西の有名大学出身者が勢揃いしています。もちろんこれはどこの塾でも同じことでしょう。
こういう話を生徒にすると、「奈良高校に合格するなんて、先生達は僕と頭の出来が違うんだろうな」とか「オール5を取って畝傍高校に行く人は特別でしょ」という返事が返ってきます。確かに、そのような返事が返ってくることは、わからないでもありません。
ただ、それらの学力優秀な講師と、勉強法に関して話をしていると、ある点で驚かされるのです。
何で驚かされるかというと、彼らは決して「天才性を発揮して受験を突破してきたのではない」ということです。
例えば、理系文系問わず必要な大学受験の英語では、まずは英単語を2000語ほど覚えなくてはなりませんが、「見ただけですぐに覚えられる」という講師は存在しないのです。英単語を覚えるのが得意だから英語の偏差値が良かった、という講師など存在しないのです。むしろ、どの講師も「英単語は苦労した、50回ずつ書いて覚えた」とか、「自分はすぐ忘れてしまうので、何度も繰り返し暗記した」とか言うのです。賢い者ほど苦労していることに、驚かされるのです。四天王寺高校から医学部に進学した女性講師などは、「英単語は苦手で、自分の記憶力が劣っていることを恨んだものです」と言っていました。
要するに、高い学力を持っている者ほど、「苦労」して「努力」しているのです。これらの話からは「学習量が多いからこそ、学力が高い」ということが導けます。
もちろん、それだけではなく、「自分が何が苦手かしっかり把握している」ことと、「自分が苦手としていることに素直に向き合い克服しようとする姿勢を持っている」ことも大事なポイントですが、まずは「誰よりも勉強量を確保している」ことが、勉強面で成果を出す一番のポイントだということがお分かりいただけるかと思います。
ここで最初の話に戻りますが、夏休みの過ごし方を伺えば、その生徒さんが「将来的にどれだけの学力を持つか」というのは、だいたいわかります。もちろん私は適当に言っているわけではありません。どう論理的に考えて、判断しているかを以下に述べますね。
おおよそですが、夏休みの過ごし方は4つに分けられます。それは、「毎日ほとんど勉強しない子」と「やるときは1時間くらいするが、勉強しない日も結構ある子」と「毎日1時間程度でもちゃんと勉強する子」と「学校と同じくらいの勉強量を確保している子」です。ほとんどのお子さんは、前の3つのどれかです。
ここで結論から先に述べますが、もしお子さんが小学生であり「毎日ほとんど勉強しない子」である場合には、中学生になってから相当苦労される可能性が高いです。一部の「家では全然勉強しないけど、なぜか点数のいい子」を除いては、中学校の定期テストでは平均点を取ることすら苦労されるでしょうし、関西でそれなりに有名大学に合格されるのは厳しいことが予想されます。
いきなり脅かすような内容ですが、そう判断する理由はちゃんと2つあります。それは、「中学校の学習範囲は、英語を除いて小学校の応用なので、小学校の範囲の基礎固めができていない場合は、中学校の学習が成立するのが非常に困難」ということと、「小学校の時に身についた学習習慣は基本的に中高生になっても大人になっても持続するものであり、全員が強制的に授業を受ける学校以外での過ごし方こそ、学力差を生む最大要因」だからです。
最初の、「中学校の学習範囲は小学校の応用」について、詳しく述べると、例えば中学校2年で学習する「歴史」の範囲は、小学校6年生の社会の応用です。どちらも大まかには縄文時代から明治時代や世界大戦までを学習するのですが、小学校の時には「元寇って言ってね、モンゴル(元)が日本に攻めてきたことがあったんだけど、暴風雨で撤退したんだよ・・・」程度のおおまかな説明だったものが、中学校の時になると「小学校の時に学習した元寇は詳しく見ると2回行なわれていて、1274年の文永の役と、1281年の弘安の役であり、その時の幕府の対応は・・・」という具体的な学習に変わっていきなり難しくなります。ここで重要になるのが、小学校の土台の上にこそ中学校の応用は成り立つ、ということです。社会は暗記科目ではありますが、小学校の説明的学習を把握せずに、中学校の具体的学習を暗記しようとしたとしても無理があるのは当然なのがお分かりいただけるでしょう。
ですので極端な話、小学校6年生の学習内容を覚えていない中学生に、中学校2年生の歴史の定期テストを解かせたとしても、記憶と理解がちんぷんかんぷんで、平均点を取るのさえ覚束ないことになります。周囲の生徒が理解していることを把握できていない状況で暗記しようとしても、不利なことには変わりません。ですので、中学校の社会で平均点を取れないのは、テスト勉強が足りていないのではなく、むしろ土台となる小学校の学習範囲が理解できていないということになります。ただ、小学校のときは定期テストというものがありませんので、「記憶と理解」がしっかりできているのかどうかは表面化されません。中学校になって「定期テスト」という理解度が点数という結果として出るようになってから、表面化したのに過ぎないのです。
このような「土台」と「応用」は、小学校から始まって、高校になるまでずっと続きます。例えば理科の電気分野では、小学校で「直列回路と並列回路」を習い、中学校で「電流電圧抵抗」を習い、高校では「コンデンサの電気容量」を習います。数学においても、中学校で平方根を学習し、高校で複素数を学習します。どれもが、既に学習したことを理解しているのが前提となっており、土台が重要になっていることは言うまでもありません。「土台がなくてもやってやれないことはない」という方も稀にいらっしゃいますが、無理なものは無理です。やってやれないから、勉強で苦しんでいる生徒が多いわけです。土台の無い中学生が新たな分野を学習するというのは、文型だった方が「微分積分」をいきなり学習してスラスラ理解しなさいと求めるのと同じようなものなんですよね。ですから、特に「そこ、苦手だったんですよね・・」という場合には、ただちについていけなくなります。
たかが小学校の学習内容とはいえ、今後ずっと影響する、とても大切な土台ということになります。小学校で少しでも苦手分野があるなら、それは中学校になっても高校になっても、ずっと苦手を抱えていくことになるので、しっかり学習して苦手克服する必要があるのです。
さて、次の「小学校の時の学習習慣は中高生になっても持続される」というのが本題です。小学校での学習習慣は、3年生や4年生の時にはほぼついていることが非常に多く、クラス内順位もこの学年でほぼ固定化され、そのまま高校まで学力差が埋まることはあまりありません。小学校の4年を迎える段階で「クラストップのAさん」は、中学校3年になっても「有名進学校を目指している生徒」であることが多いですし、小学校5年の段階で「クラスで最下位のB君」は、高校受験においても「かなり偏差値の低い高校を受験する」ということになりがちです。
なお余談ですが、偏差値の低い高校はダメなのかというと、決してそんなことはありませんし、否定するものではありません。すべてが偏差値で決まるものではありませんし、勉強ができるできないというのは、評価の一面でしかありません。勉強というのは手段であって目的ではありませんから、自分のやりたいことを見つけたなら、勉強よりもそれに熱中する方が大切です。また、偏差値の低い高校に行っている生徒がダメとは全く考えませんし、生徒の良さというのは学力のみで測れるものでもありません。ですので、そちらは誤解されぬようお願いします。ただ、就職活動や収入の面で、学力が低いと不利になることが多いのはやはり事実であり、勉強ができないと、どうしてもそれをずっと抱えていくことになるということも無視できない現実です。それを重視されるか、あまり気にされないかは、各ご家庭の判断でよろしいかと思います。我々は学習塾ですので、重視するスタンスを取っているだけです。
さて、話を戻しますと、夏休みというのは、「学校の授業がない日が続く」ということです。「毎日が日曜日」ということです。学校の授業がある時ならば、授業をちゃんと受けていれば学力差は生まれにくいものです。ゆえに、学力差とは「学校の授業がない日にどれだけ学習量を確保したか」で生まれがちです。
ここで話を戻しますが、夏休みの過ごし方として「毎日ほとんど勉強しない子」と「やるときは1時間くらいするが、勉強しない日も結構ある子」と「毎日1時間程度でもちゃんと勉強する子」と「学校と同じくらいの勉強量を確保している子」に分けられると言いました。
毎日ほとんど勉強しない子というのは、「自分では学習できない(しない)子」ということです。また、「誰よりも学習量が少ない子」ということでもあります。小学校の学習範囲はあらゆる学年の土台であり、土台であるからこそ、促成栽培ではなく地道に時間をかけて養成するべきですが、この段階での学習量の少なさは、中高生になってからは簡単に覆せません。だからこそ、すぐにでも早く学習量を確保してください。毎日ほとんど勉強しないというのは学習量としてあまりに足りませんし、それが毎年繰り返されるとなると、学習不足の借金は膨らむばかりであり、やがては後から頑張ってどうなるものではなくなります。学年と受験校によっては夢や目標を諦めるという残念なこともあり得ます。
やるときは1時間くらいするが、勉強しない日も結構ある子というのは、「毎日の学習習慣がない子」ということです。よくありがちなのが、中学生になって「テスト前は学習するけど、普段は勉強しない子」というパターンです。こういう子は少なくありませんし、保護者の方からも「うちの子はテスト前にならないと勉強しないんです」という悩みをよく耳にするのですが、中学生になって急にそういう性格になったわけではなく、小学生の時の学習習慣の延長で、今日に至っていることがほとんどです。このような生徒は日頃の学習量が足りていませんので、毎日勉強する生徒には勝てません。やればできる子なのですが、学習量が少ないために受験で苦戦することも多々あります。また、日頃の学習習慣がついていないので、勉強のやり方や学習の進め方にも不慣れであることが多く、効率も高くないことが多いです。非常にもったいないの一言に尽きます。
毎日1時間程度でもちゃんと勉強する子は、「自分なりの学習習慣を確保できた子」ということです。しんどい時も疲れている時もちゃんと勉強する実行力をつけていますので、その成果は学年を経るごとにどんどん膨らみ、いい意味で差が開いていきます。毎日勉強するため学習の反復効果も期待しやすく、暗記などの記憶も定着が早いです。こういう生徒は伸びますし、コツコツと努力をした結果、たいてい夢を掴みます。また、社会に出ても「やるべきことをしっかりできる人材」として評価されることが多くなるものです。
学校と同じくらいの勉強量を確保している子は、「学校が休みの時でも休まず全力で学習する子」ということです。誰よりも勉強しているので、当然ながら誰よりも勉強ができます。中学受験を経験したことのある生徒がエリート街道を進むことが多いのは、持って生まれた頭脳よりも、小学生時代の夏休みでも毎日10時間くらい勉強した経験が、人生の糧になっている証左だと言えるのではないでしょうか。
さすがに、誰もが夏休みに「毎日10時間勉強すべきだ」と声高に言うつもりはありません。他の習い事や部活もあるでしょうし、やりたいこともあるでしょう。友達と遊ぶことだって、人間関係の経験としては大事なことです。ただ、もしお子さんが「家でダラダラするばかりで、全く勉強しない日も結構ある」ということがあれば、ぜひ理塾にご相談ください。別に理塾じゃなくても構いませんが、どこかの塾で学習時間を確保しないと、ゆくゆく苦労される可能性があります。せっかくですので理塾にご相談ください。「生徒さんに勉強を教える」だけではなく、「お母さんにも子供に対する勉強の考え方」や「家庭学習の進め方」をアドバイスさせていただきます。
我々は学習塾ですので、生徒さんの学力を上げることで貢献したいと願っています。ただその一方うで、学力を上げることだけが大事とは思っていません。学習にそれほど熱心でないご家庭もあるでしょうし、いろいろな考え方があるべきだろうと思います。それはそれぞれ尊重されるべきです。
ただ、夏休みに勉強を確保することが重要なのは、ここまで書いてきた通りであり、「中高生になっても苦労しないためには毎日1時間程度の学習量は誰もが確保すべき」というのは揺るぎない信念です。ぜひ、「毎日1時間は、学生としての本分である勉強をする」ことを実行していただきたいと思います。そのために、「何をしたらいいのかわからない」であったり、「何からやればいいのかわからない」ということがあれば、それは理塾にお訊ねください。ここまで読んでいただいた分、しっかりアドバイスさせていただきます。
重複しますが、勉強だけの夏休みを過ごすのもどうかと思います。そういう意味では、前回の記事である「自由研究」も重視しています。学習机にかじりつくだけではなく、いろいろなことに興味を持ち、自分なりに解決し、それを伝えていける能力も育んでいってください。自由研究の相談もぜひ、理塾にお任せください。
現状がどうであろうと悲観される必要はありません。もし現状が目標よりも低い状態であれば、危機感を持っていただき、ここからどのように頑張っていけるかを一緒になって構築したいと考える次第です。
一人でも多くのお子さんが、夏休みの学習習慣を身につけることで、自分の夢や目標が出来た時に苦労しない状況であることを、理塾は願っています。